「ディス・クルとは、本来、あちらこちらと走り回ることを言う。恋する者は、たえず心の中で走り回っており、新たな奔走を企て、自身に対する策謀をめぐらしつづけてやまない。…そうしたディスクールの破片をフィギュール(型)と呼ぶことができよう。……フィギュールとは、恋する者が作業中の姿なのである。……フィギュールが構成されるについても、やはり、恋愛感情という案内者が最低限必要であり、それ以上のものは必要としないとも言えるのである。」(ロラン・バルト「恋愛のディスクール・断章」(ISBN:4622004712)より)