河合隼雄

講談社文庫
◎母性
「母親から自立し個性を確立していくには、そのモデルとなるべき父親像があまりにも弱いとあっては・・・」p239
「・・・この感情的平等主義とでも名づけたい傾向は、強固な母性原理に基づいているものであるが、これを“民主主義”、あるいは“近代的”中には“西洋的”だとさえ誤解している人が多いために、色々な混乱が生じているように思われる。」p.240
◎イニシエーション
「・・・彼女が結婚していながら、娘から妻へという変化をなんら体験していないということである。結婚式はモチロンあげられたのだろうが、それは余りにも非聖化された俗事として盛大さにまぎれ、イニシエーションの儀礼とはならなかったにちがいない」p.274
「・・・抑制された成長が促進され、クライエントにその人生において決定的となるような成長の段階を迎える。ここに、その個人にとってのイニシエーションが必要となってくるのである」p.278
「近代人はエリアーデのことばを既に紹介したように、“根本的に非聖化された宇宙”にいきているのではあるが、・・・」p.282