平岡敏夫漱石日記」岩波文庫

漱石日記 (岩波文庫)

漱石日記 (岩波文庫)

p.48<1901年3月21日(木)>
「日本は過去において比較的に満足なる歴史を有したり。比較的に満足なる現在を有しつつあり。未来は如何あるべきか。自ら得意になる勿れ。自ら棄る勿れ。黙々として牛のごとくせよ。孜々として鶏の如くせよ。内を虚にして大呼する勿れ。まじめに考えよ。誠実に語れ。摯実に行え。汝の現今に播く種は、やがて汝の収むべき未来となって現わるべし。」
p.55<1901年4月17日(水)>
「・・・耶蘇の説教を承った。仕方がないから自分の思うことを述べた。Mrs.Edghillがいうには貴君はprayする気にならぬかといった。余はprayすべき者を見出さぬといった。Mrs.Eはこのgreatfull comfortを知らぬは情けないといって泣いた。気の毒であった。・・・」